紀元800年〜1,300年ごろに中世温暖期と呼ばれる温暖な時代があったらしい。そのあと小氷河期と呼ばれる数百年がやってきて不安定な気候に苦しめられたことがわかっているんだけど、一般に温暖な中世にはヨーロッパでは豊作に恵まれ、大聖堂がたくさん建設されていい時代だったと考えられていた。
でもその同じ時期、実はアメリカ西部や南米、東南アジア、インド、中国、アフリカなどの地域では干ばつによる飢饉で大量の人が飢え死に、マヤ文明やアンコールワットをつくったクメール文明などもそのせいで崩壊した可能性があるらしい。
つまり1,000年前の地球温暖化はヨーロッパなど一部の地域に恩恵をもたらす一方で、かなりの広範囲で人間社会に破壊的な影響をもたらした。そしてそれは洪水よりもむしろ干ばつによる農業生産の破壊によるものだったらしい。
で、現代の温暖化はどうかというと、1,000年前と同じく多くの地域で水不足と干ばつによる飢えが予想される。しかも1,000年前よりもはるかに増えた人口が都市に集中し、より高度な水管理による集約的な農業に依存しているため、水不足には一層弱くなっているらしい。
上は世界の半乾燥および乾燥地帯を示した地図だけど、これらの地域は今後温暖化によって深刻な水不足が長期にわたって続く可能性がある。1,000年前にはそうした地域から人々が逃げ出して水のある土地へと移動していったことがわかっており、今後ほんとうに干ばつになったら、大量の難民が周辺の国々に押し寄せるだろう。
UNESCO の調べでは、今日でも世界の人口の5分の1近くは安全な飲み水の得られない環境で暮らしている。上水道のない地域に住む人は11億人にのぼり、約26億人が基本的な衛生設備もなく暮らしている。そうした人々の半数以上は中国とインドに住んでおり、熱帯アフリカにも数百万人がいる。今後、石油よりも水の方が貴重な時代が来るかも知れない。石油がない時代にも人類は生きてきたが、清潔な水がなければ生きられないだろう。
ニュースでは連日、アフリカのジンバブエで、きれいな水やトイレがないためにコレラが蔓延していると伝えているし、水がなくなればそうした危険地域はもっと広がる。今みたいに呑気に暮らせる時代はそう長くは続かないのかも知れない。
日本は幸い水が豊富なのですぐには心配なさそうだけど、世界中で干ばつにより食料生産が激減すれば日本人も食べ物を輸入できなくなる。水を売って食べ物を手に入れるのか、畑を増やして自給率を上げるのか、もしかしたらロボットよりも海水を淡水にする濾過装置なんかの方が需要が出てくるかも。いやはや、大変な世界になったものだ。
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