独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)というところに質問のメールをしておいたところ、丁寧な回答をもらいました。
これで疑問も氷解。月に裏側がある理由も書いてあって目から鱗です。
潮の満ち引きを引き起こす力を起潮力(潮汐力)といいます。ここでは,太陽-地
球-月系の潮汐力について考えてみましょう。
まず地球が孤立していて,月も太陽も存在しない状態を考えてみましょう。この場
合,地球そのものが自転(表面では,時速約1670kmにもなります)しているので,自
転によっても地球の表面では結構大きな遠心力が働くことになります。すなわち,地
球だけの時でも,表面の海水は,遠心力によって膨らむ(ただし満ち潮だけ)ことは
容易に想像できますが、この力は、他に比べてさほど大きなものではありません。
次に,月がなくて太陽と地球だけが存在すると考えてみましょう。地球は太陽の周
りを公転しているということは,ニュートンの万有引力の法則を持ち出すまでもな
く,地球が太陽から離れようとしているのを太陽の大きな引力が引き留めていること
になります。この離れようとする力(遠心力)は,太陽の引力の及ばない反対の側で
大きくなります。すなわち,地球表面の海水は,引力によって太陽側に引っ張られ膨
らむと同時に,反対側でも,遠心力によって太陽から遠い方に膨らみますのでここで
も潮汐力が発生します。(バケツに水を入れてヒモを付けて振り回した場合を想像し
てみて下さい。バケツの水は、外側に飛び出ようとしますね。実際には、引力と遠心
力が釣り合っているのです。)実際には、太陽にも地球の影響によりわずかに遠心力
が生じているはずですが、太陽の質量があまりに大きく、ほとんど影響を及ぼしませ
ん。
また、月と地球の関係を考えてみましょう。月の質量は地球より小さい(すなわち
引力も小さい)のですが,月は,太陽より遙かに近いため,太陽による潮汐力よりも
月による潮汐力のほうが約2倍ほど大きくなります。当然、地球と月の間でも太陽と
同様に引力と遠心力が働いています。実際には,地球の周りを月が公転するとき、地
球も月の引力の影響を受けてわずかに軌道がふらついているくらいです。当然,月に
も潮汐力が働くのですが,月には海がないので,潮の満ち引きはおきませんが,月の
岩石がわずかに伸び縮み(月震)することが知られています。
詳細な計算式は、以下のURLを参照して下さい。
http://www.moonsystem.to/comp/page03.htm
これらの3つの現象を合成すれば,太陽-地球-月系における潮汐力全体が理解できる
と思います。
すなわち,地球の自転による満ち潮は,地表面の全体に均等に生じるのでここで
は,あまり考えなくてもいいのですが,太陽と月による潮汐力は地球の表と裏側に起
こるので、潮の満ち引きは地球の裏と表で同時に起こります。また、1日に2回起こる
のもこのためです。この潮汐力は太陽と地球と月が一直線に並んだ時が最も大きくて
(引力と遠心力が合成される)、大潮となります。また、太陽と月が地球を中心に9
0度の角度をなす時(引力と遠心力が90度ずれる)が最小になり、この時に小潮とな
ります。長潮,若潮はこの小潮の状態から,中潮へ向かう時のことをいいます。
実は,この潮汐力によって地球の自転は,100年で0.00148秒くらい遅くなっていま
す。今から10万年くらい経つと、一日の長さが1.5秒くらい長くなる計算になります。
先ほどもいいましたが,この潮汐力は、地球に働いて、潮の満ち引きを起こしてい
ますが、この力は月や太陽から受けていますが、太陽からの引力により地球の太陽に
近い面は引っ張られます。逆に地球の太陽から遠いほうは遠心力で地球から離されま
す。この力は公転周期よりも速く自転している場合にはブレーキになり、公転周期よ
りも自転周期が遅ければ加速しようとします。そうして、ついには公転周期と自転周
期はいっしょになってしまうのです。ということは、地球の自転周期は1日で、太陽
に対する公転周期の365日より速いために、地球にはブレーキが掛かってしまいます。
同じようなことが他の星でも起こっていて、火星の2つの衛星フォボスとディモス
も月と同じように公転周期と自転周期が一致していて、それぞれ0.319日、1.262日で
す。また、ガリレオが発見した有名な木星の衛星、イオ、エウロバ、ガニメデ、カリ
ストも同じように公転周期と自転周期は等しく、それぞれ1.769日、3.551日、
7.155、16.69日です。他の惑星の衛星も公転周期と自転周期が一致しているものが多
いです。これらの惑星にある衛星は月と同じように何時も同じ面を母星に向けていま
す。このように、自転周期は非常に長い時間をかけて公転周期と同じになっていくと
考えられています。
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