今日はJCDデザイン賞の贈賞式でした。
予定外のことだったらしいのだけど、原研哉さんがふいと会場にいらして今回のデザイン賞についての審査講評をしてくれた。これが非常にシャープで面白く、とても感銘を受けた。
いわく、今の時代の問題点はなにかと考えるとき、「情報量の少なさ」というものに思い当たる。ここでいう情報量というのは、たとえばバリ島の古いホテルの、100年がかりで磨り減ってすべすべになった石畳の上に裸足で立ったときに足裏が受ける情報量のようなもののことを言う。
人間は無数のセンサーのかたまりのようなものであり、脳は情報量の多いものが好きなのだが、今のデザインは一様に情報量の少ない状態へと向かっており、情報量の少ない情報ばかりが大量に飛び交っているのではないか。このままでは情報の過疎化が心配になってくる。
と、まあそんなお話だった。
そのような文脈の中で、LANVIN BOUTIQUE銀座も情報量の多い装置として評価されたようだった。ふーむ、なるほどねー。
僕は単純に原研哉さんがおめでとうといって握手してくれたことがうれしかった。柔道家みたいな分厚い手だった。
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niwatetsu : 2004-12-10 10:30:07
そういえば、10年近く前の建築会議で大江?が壁に時間をこめられるようにファンハウス本社屋の壁を左官仕上げにしたというようなことを言っていたな。
法然院の家で使った本物の土壁は粗壁・下塗・中塗と数度に渡って土を重ねているのだけど、そのせいか非常に深みのある表情を見せる。表面だけの現代建材の左官仕上とは明らかに違う感じがする。また、出来上がってからも時間を吸収していく力があると思う。
minorio : 2004-12-10 12:29:41
僕も、出来上がったときが一番いいというようなものではなくて、時間とともに空間の完成度が上がっていくような、より「自然」に近づいていくような空間のあり方っていうのに興味があるんだけど、それって素材的なアプローチだけでは限界がありそうだよね。
使い手や用途によって建築の運命は大きく変わるだろうし、プログラムと空間との完璧なマッチングが必要なんだろうと思う。それが確保できないとき、たとえばせいぜい2-3年しか継続しないプログラムに対して長期間の熟成を必要とするような仕上げを使ったりしてしまうと、素材的なアプローチも単なる「建築家のこだわり」みたいになってしまって悲しいので、どんなときでも同じアプローチでいいとは思わない。
けど世の中の変化がこれだけ早くなってくると、じっくりと時間をかけてなじませていくような空間を作るべきケースというのはますます減少していくのかもしれないね。
ぼくが内藤廣さんの仕事に惹かれるのは、彼の仕事の多くが一定の目的で長く使われるものをつくっていることと関係がありそうな気がするな。
海辺のぼろい小屋なんかも、10年もそこに建っているといっぱしの風格を帯びて魅力的に見えることがある。ただそれらは朽ちることによって自然に近づいているものなので、使うことを考えると問題がある。
昔の茶室などは一見朽ちかけているようにも見えて、実は完璧に清潔で機能的だったりするけど、あれもやはり用途と空間との長期間にわたる安定した関係があってこそのものかなとも思う。
空間を設計するときには、やはりプログラムに寄り添うことが大事だと思う。その空間の時間的な寿命によって適用されるべきデザインも異なるだろう。
次は長寿命のプロジェクトをぜひ手がけてみたいものだなー。